あらすじ

船底の下は、油と錆と、雨水の匂いがした。 「お嬢様。……お嬢様、お召し物が」 頭上から、侍女のリタの困り果てた声が降ってくる。ヴェルディアナは返事をしないまま、仰向けのまま船体の継ぎ目に指を這わせた。 竜骨に歪みはない。肋材の継ぎ目にも、浮いた錆は見当たらない。何年も雨ざらしだったはずなのに、指先に触れる鋲の頭は、どれも油で黒く光っていた。 「リタ。この船、何年ここにつながれていたと言っていたかしら」 「港の方のお話では、六年と……」

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小説を読もう2026/10/27
  • 現在の作品翠の令嬢