あらすじ
三年前、双子の姉が姿を消した。
あの日以来、私は静かな場所が苦手になった。そんな私の耳に、ある放課後、まだ起きていない事故の音が飛び込んできた。
金属が砕ける音。悲鳴。そして雑音の向こうから聞こえた、行方不明の姉の声。
その警告を頼りに、私は友人の命を救った。
けれど、録音を調べたことで、奇妙な事実が判明する。
私が確かに聞いたはずの言葉が、音声データには存在しなかったのだ。
やがて浮かび上がったのは、「ECHO」と呼ばれる極秘の音響実験。未来から届く音を観測し、その断片から災害や事故を予測しようとする研究だった。
失踪した姉とECHOの関係。過去の実験に関わった人々。そして、街のあちこちで聞こえ始める、まだ起きていない出来事の音。
未来の声は、決して完全ではない。雑音に隠された言葉を、私たちの脳は勝手に補ってしまう。
もし、その一言を間違えていたら。
もし、誰かがそれを利用していたら。
未来を知ることは、本当に誰かを救うことにつながるのだろうか。
消えた姉の行方を追いながら、私は「予言」の正体へと近づいていく。