あらすじ
『隻腕のセカンド』
――失った左腕。それでも、野球を諦められなかった。
かつて、天才と呼ばれた少年がいた。
橘悠真。右投げ左打ち。少年野球で抜群の守備センスを発揮し、将来を期待されていた二塁手。
しかし、中学二年の秋。交通事故によって左腕を失い、彼の野球人生は突然終わりを告げる。
大好きだった野球を諦め、野球部のない場所を選ぶこともできず、ただグラウンドの外から練習を眺める日々。
そんなある日、悠真はひとつの可能性に気づく。
――ボールを右手に持ち替えず、グラブから直接飛ばすことはできないのか?
ラクロスの道具から着想を得た、前例のない送球技術「グラブスロー」。
だが、ボールは思うように飛ばない。狙った場所にも届かない。バッティングにも、守備にも、乗り越えなければならない壁がいくつもある。
それでも、悠真には失っていないものがあった。
打球の行方を読む力。
一瞬の動きから次の展開を予測する頭脳。
そして、もう一度グラウンドに立ちたいという想い。
これは、失ったものを嘆く少年が、残された力で自分だけの野球を切り開いていく物語。
常識を変えるのは、特別な才能か。
それとも、諦めの悪さか。
**隻腕の二塁手が、もう一度、野球を始める。**