あらすじ
『春が終わる、その前に。』
「先輩は、何度でも読みたくなる本ってありますか?」
高校二年生の水野紬が出会ったのは、長い黒髪と穏やかな笑顔が印象的な、ひとつ年上の先輩・白瀬澪だった。
静かな図書室。
窓から差し込む春の光。
何気ない会話と、少しずつ増えていくふたりだけの時間。
本を読むたびに新しい発見があるように、紬は澪のことを知るたび、もっと彼女を知りたいと思うようになる。
いつからだろう。
図書室へ向かう足取りが、こんなにも軽くなったのは。
いつからだろう。
先輩の笑顔を見るだけで、一日が特別なものになったのは。
けれど、澪には誰にも話していない未来があった。
卒業。
遠く離れた街。
そして、いつか終わりが来るとわかっている、春のような日々。
大切だからこそ、伝えられない言葉がある。
好きだからこそ、近づけなくなる瞬間がある。
ふたりは互いを想いながら、少しずつ、本当の気持ちから遠ざかっていく。
あの日、伝えられなかった想いは、春が終わっても消えないまま。
これは、出会いと別れを経験したふたりが、それぞれの時間を歩んだ先で、もう一度、大切な人と向き合うまでの物語。
あの春の続きを、あなたと。