あらすじ

小川菜月と付き合って六年。彼女はよく、困っている人がいたら助けてあげなきゃ、と言っていた。 去年の冬、俺が三十九度を超える熱で点滴を受けていたときも、三浦亮介から「失恋したから飲みに付き合ってほしい」と連絡が入ると、菜月は俺を置いて出かけていった。 そして今度は、妹の心臓手術に備えて貯めていた三百万円を、勝手に亮介へ送金した。 借金の返済に困っているから、という理由だった。 二人がいる高級レストランへ行くと、個室の引き戸が少し開いていた。 「菜月、あれって美緒ちゃんの治療費だろ? 拓海さんにバレたらどうするんだよ」 俺は足を止め、スマホの録音を始めた。 菜月は亮介の皿に、殻をむいたエビを載せていた。 「美緒ちゃんの手術は明日じゃないでしょ。病院には相談できるけど、亮介の借金は今日中なんだよね?」 「でも、三百万だぞ」 「稼げるようになったら返せばいいじゃん。拓海には投資で失敗したって言っとくから」 テーブルには豪華な料理とワインが並んでいた。 数時間前、十七歳の妹は病院のベッドで、手術が終わったら学校へ戻れるかな、と俺に聞いていた。 俺はスマホを握ったまま、個室の引き戸に手をかけた。

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小説を読もう2026/10/23
  • 現在の作品彼女が妹の命を救うためのお金を男友達に貢いだので、俺は警察に通報した