あらすじ

カーテンの隙間から差し込む光で、あたしは目を覚ます。 ――なんて、カーテンなんてないんだけど。 名前は桜庭貞子、十六歳。ネイルとプリが命の、きらきら女子高生――ただし、もう死んでいる。 舞台は、某県某市、某寺にある墓地。ここでは「〇〇家之墓」の一つひとつが、霊たちにとっての立派な我が家だ。貞子は、曾祖父母や隣人たちと賑やかに暮らす、幽霊としての日常を送っている。霊は殴っても死なない(もう死んでいるので)。お経は霊にとっての音楽で、住職の読経は極上だが、修行中の小僧の下手なお経は「胃もたれ」を引き起こす。そんな独自ルールに満ちた、ちょっと不思議な死後の日常ライフ。 墓地を訪れる生きている家族や友人との、声なき対話が描かれる。生者には霊の姿は見えない。それでも、墓前で語られる言葉の奥にある本当の気持ちだけは、霊たちに伝わってくる。 貞子自身も、生前は大嫌いだった自分の名前や、命を落とした本当の理由と、少しずつ向き合っていくことになる。隣人の元ヤンキーの積年の後悔、令嬢の九十年越しの初恋、名前を忘れかけた無縁仏の孤独――それぞれの登場人物が抱える過去が、墓地という舞台の上でゆっくりとほどけていく。 ドタバタのギャグと、心に染みる涙が交互に訪れる、死んでも死なない墓場のドタバタ群像劇コメディ。 貞子は今日も、墓場で、にぎやかにやってます。 ――墓場は今日も、成仏しない。

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小説を読もう2026/09/28
  • 現在の作品墓場ぐらしのサダコさん