あらすじ
(GA向けに現在推敲&校正中)
魔法使いの街ランドル。
魔法大学への入学を機にこの街へ越してきたタチアナ――ターニャ・ベルガーは、祖父エルンストとともに、路地裏で小さな魔導具店を始める。
エルンストは、時代遅れの魔法しか使えない引退魔術師。
店に並ぶのも、壊れた杖や用途不明の箱、誰にも買われない古びた魔導具ばかり。
当然、客は来ない。今日の生活費にも困る有様だった。
ところが、そんな店に少しずつ奇妙な魔導具が持ち込まれる。
亡き夫が毎朝触れていた、壊れた小箱。
行方不明になった父親が残した、古い魔法杖。
少年がこっそり売りに来た、使い切られたはずの記録器。
新しい魔法なら、古い魔導具より便利なものを作れる。
けれどエルンストは、簡単には新しいものへ置き換えようとしない。
「魔法でなきゃいけないところだけ、魔法にすればいいんだよ」
古びた道具を直すたび、そこに残された人々の暮らしや、言葉にできなかった想いが浮かび上がっていく。
一方、ターニャもまた大学生活の中で、魔法を巡る現実を知っていく。
貴族と平民。裕福な者と貧しい者。生まれ持った魔法の才能。
魔法は差別をしていないのに、魔法使いは壁を作っていく。
では、自分は何のために魔法を学ぶのだろう。
魔法を使って、何をしたいのだろう。
そんな日々の裏側で、半年前に起きた奇妙な死の謎が静かに残り続けていた。
古い城壁から、一本の人間の脚が生えていた事件。
死亡した魔導具鑑定士テイラー・ハウゼントは、なぜ死の直前までランドルの古い魔法、城壁、そして伝説の魔術師エシャについて調べていたのか。
これは、引退した老魔術師とその孫娘が、町の片隅で古い魔導具を直しながら、人々が魔法に託してきたものを見つけていく物語。