あらすじ
後宮の一角にある蓮池で、若き官吏の陸雲(りくうん)は一匹の小さな錦鯉に心を奪われる。
周りの大きな鯉たちに押され、目が見えぬゆえに上手く餌も食せず、不器用に向かい続けるその健気な姿に、いつしか陸雲は情以上の感情――「恋」を抱くようになっていた。
だが、宮廷の多忙ゆえに半年ほど池を離れた隙に、その小さな影は池から姿を消してしまう。
悲嘆に暮れる陸雲のもとに舞い込んだのは、朝廷の命による婚姻の話であった。
断れぬ婚礼の席、提示されたお相手は「盲目の幼き少女」――。
すれ違う運命と奇跡が織りなす、中華宮廷幻想婚姻譚。