あらすじ
「悪魔の子」と呼ばれて育った少年は、幼い頃から過酷な虐待を受けていた。
誰も信用せず、誰にも頼らず、生き残るために身につけたのは、人並み外れた知能だった。大人になった彼は、その能力を使ってハッキングや不正行為に手を染め、多額の金を稼ぐようになる。自分以外の人間は、利用するか、利用されるかのどちらかだと思っていた。
そんな彼の前に、一人の女性が現れる。
彼女もまた聡明で、自分の考えをしっかり持った人間だった。最初は彼女さえも利用するつもりだった主人公は、何度も彼女と衝突する。自分の間違いを指摘されても反発し、離れては再び出会うことを繰り返した。
長い年月の中で、主人公は少しずつ変わっていく。
人を信じること。誰かを思いやること。自分の行動が他人に与える影響を考えること。そして、自分が誰かを大切に思っていることを認めること。
二人が結ばれることはなかった。
それでも、彼女との出会いは主人公の人生を大きく変えた。
やがて年老い、病を抱えた主人公は、自分の死が近いことを知る。彼が最後に選んだのは、これまで自分のために使ってきた知能を、困っている人々のために使うことだった。
自分がこれまで犯してきた罪も、間違いも、彼女と過ごした時間も、全てを記録として残す。
そして、自分がいなくなった後も誰かを助けられるように、一つのシステムを完成させる。
「悪魔の子」と呼ばれて生まれた男が、長い人生の最後にたどり着いた場所とは何だったのか。
これは、一人の男が人を愛することを知り、自分自身の生き方を選び直していく、長い人生の物語です。