あらすじ
大学を中退し、代わり映えのないアルバイト生活を送る本田奏。彼女は9年間、中学時代の甘酸っぱい夢を見続けていた。輝かしい未来へ進む友人たちに劣等感を抱きながら、年に二度の飲み会の日を迎える。
「みんなに嫌われていないだろうか。情けないと思われていないだろうか……それに、悠人に、彼女はできたのだろうか」
不安と期待が入り混じる中、友人たちとの再会に心躍らせる奏。しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ、慣れない酒に酔い潰れてしまう。なんとか駅まで着いたものの、家まで20分の暗い道のりで迎えもない絶望的な状況に。
そんな彼女に、家が真逆の方向であるはずの悠人が「こんな時間だし、家まで送ります」と静かに告げた。
誰もいない深夜の帰り道。二人きりになったことで、臆病さから9年間も心の奥に閉じ込めてきた想いが、ついに溢れ出してしまう。すれ違い続けた二人の距離は、この夜を境に変わるのだろうか。