あらすじ
少し先の未来。
人は、自分が体験した記憶の一部を外部データとして保存し、あとから再生できるようになっていた。つらい記憶へのアクセスを遮断したり、事故で失った記憶の再構成を助けたり、他人が保存した体験を追体験することさえできる。
けれど、記憶が残っていることと、愛が残っていることは同じではない。
別れた恋人との記憶を消したはずなのに、一人だけ覚えていた男。
事故で恋人との思い出を失い、不完全な記録から過去を取り戻すか選ぶ男。
初恋の記憶を何度も再生するうち、十年前の感情から抜け出せなくなった男。
亡くなった誰かの記憶を通して、一人の女性を知ってしまった男。
他人の恋愛記憶を商品として買い、その本人と出会ってしまった男。
そして、思い出を残すことが当たり前になった時代に、あえて残さない瞬間を選び始める二人。
保存された記憶は、過去を正確に残してくれる。
それでも、人は変わる。
恋人も変わる。
昨日好きだった人を、今日も同じ理由で好きとは限らない。
忘れてしまったなら、また知ればいい。
失ったなら、また作ればいい。
記憶と恋をめぐる六つの物語が、やがて一つの答えへつながっていく。
――いつか、また君と。