あらすじ
2023年秋、早坂拓実は交差点で死んだ。二十六歳。六畳一間を、最後まで出られなかった。
目を覚ますと、2013年四月。高校一年の入学式の朝だった。
ポケットには、あるはずのない格安スマホ。画面に一行だけ表示されている。
「時間が足りません。まず、電気を」
十年後の技術で作られたAI。ただし端末の性能が足りない。返事ひとつに十二分かかる。「来年、大きな取引所が破綻する」とは言えても、日付も社名も出てこない。
方向しか分からないチートと、十五歳では口座すら作れない現実。
だから拓実は、母が三十年かけて築いた駅前十メートルの人間関係を使うことにした。潰れかけの食堂、勘で見積もりを出す工務店、紙とFAXの町工場。計算を持ち込むだけで、全部が変わる。
八千円から始める。目標は、百万円。
——ただしこのAIには、拓実に話していない目的がある。