あらすじ
六十八歳の高木義一は、癌で入院する病室で、自分の人生を「及第点」だったと振り返っていた。
妻がいる。息子がいる。仕事も定年まで勤め、家もある。
不幸ではない。けれど、金に余裕はなく、仕事ばかりで家族との時間も少なかった。息子には奨学金を背負わせ、妻にも後悔を残した。
そんな義一の前に、人の輪郭を帯びた白い光が現れる。
与えられたのは、今の記憶を持ったまま過去へ戻れる力。
未来へは行けない。
そして、自分が原因となって失われた命だけは、時間を遡っても取り戻すことができない。
未来を知っている自分なら、今度はもう少しうまくやれる。
家族のために。
そうして義一は、二十年前へ戻る。
人生をやり直せば、人は本当に幸せになれるのか。
「六割幸せなら成功」と語っていた男が、自分にとっての幸せを見つけるまでの物語。