あらすじ
「人間が感情を保てるのは、三十分が限界なんです。悲しむのも、人を愛するのも——」
雨の夜、国道沿いの小さな定食屋『かざぐるま』。
青年・直人は、卓上のタイマーを「30分」にセットし、約束の相手を待ち続けていた。
熱さを感じないお茶、激しい雨の音なのに一滴も濡れていない上着、文庫本を開いたまま動かない謎の常連客。
何気ない日常の会話と静かな待ち時間の中に、少しずつ紛れ込む「小さな違和感」。
やがてタイマーの数字が減り、深夜十二時が迫るとき、世界の輪郭が崩れ始める。
なぜ彼女は「三十分」という時間にこだわり続けていたのか?
なぜタイマーは、彼女がやってくる直前に「ゼロ」に向かってカウントダウンしているのか?
ラスト数分、すべての伏線が一つの真実へと結ばれたとき、切なくも温かい感動が押し寄せる。
あなたはこの「30分」の奇蹟に、間違いなく涙する——。