あらすじ
瀬戸内海に浮かぶ小さな島、寄島(よりしま)。
父の転勤で本州から越してきた高校二年生・真壁湊を待っていたのは、港に黙って並ぶ島民たちの視線だった。
この島の人間は、誰も名乗らない。
夕凪の鐘が鳴ると、島中の人が海に背を向けて立ち止まる。
湊の家の戸口にだけ、貝殻が裏返しに吊るされている。
島でただひとり、湊に丁寧に接してくれるのは、クラスで浮いている神社の娘・潮見凪。
「困ったことがあったら、私にだけ話してね」
夏休みのある夜、港に流れ着いた小舟の中から、口に割れた名札を押し込まれた男の遺体が見つかる。
長老会は湊に告げた。
「寄り人よ。盆の夜までに穢れを見つけなさい。見つけられなければ、寄り人が穢れを負う」
湊は同級生の浜岡陸と一緒に犯人を追いはじめる。
けれど、湊が疑った人間が、ひとり、またひとりと、島の因習をなぞった姿で死んでいく――。
名前を呼んではいけない島で起こる、五つの見立て殺人。
因習ミステリー×ホラー長編。