あらすじ
戦争が始まってから、十八年。
少女が生まれるよりも前から続く戦争は、人々の暮らしを少しずつ変えていた。
街の灯りは減り、立入禁止区域が増え、かつて人が暮らしていた場所には静かな荒野が広がっている。
そんな世界で、少女は軍の観測基地に所属していた。
彼女の仕事は、遠くの空を観測し、敵の動きや天候、通信などを記録すること。戦争そのものとは少し離れた場所で、少女は毎日を過ごしていた。
朝が来て、仕事をして、誰かと食事をして、夕暮れに空を眺める。
そして夜になれば、星を見上げる。
それは、少女にとって当たり前の日常だった。
少女は昔から空が好きだった。
理由は自分でも分からない。
ただ、空を見ていると、不思議と懐かしいような気持ちになる。
そんな日々の中で、世界では少しずつ不可解な現象が起こり始める。
軍はそれを戦争に関係するものとして調査を始めるが、やがて観測される異変は、これまで人類が知っていたどんな現象とも異なるものだと分かっていく。
少女もまた、その異変と無関係ではなかった。
空を見上げるたびに感じていた、言葉にできない懐かしさ。
遠い星々を見つめるときに生まれる、奇妙な感覚。
そして、自分自身についての小さな違和感。
それらが少しずつ繋がっていく。
やがて少女は、自分がこの世界に存在する理由と、遥か彼方にある星々との間に隠された真実を知ることになる。
戦争が終わるのか。
人々は生き残れるのか。
そして、少女は何者なのか。
すべての答えが明らかになったとき、少女は一つの選択を迫られる。
これは、戦争の物語であり、
一人の少女の物語であり、
そして、遥か彼方にある星と、この世界の物語。
長い夜の終わりに、少女が最後に見上げる空には――
何が残っているのだろうか。