あらすじ
ピアノが好きな少女には、一つだけ不思議な力があった。彼女の演奏を聴いた人は、彼女が音に込めた『意思』に導かれる。
『上手いと思って欲しい』と願えばそう思い、『もっと聴きたいと思って欲しい』と願えばそう思う。幼い彼女はその力の存在にも気づかないまま、ただ誰よりも上手くなろうと夢中でピアノを弾いた。
しかしある日、自分の思い通りにならない人に出会う。そして、自分の思い通りにならない音に出会う。それをきっかけに、彼女は少しずつ問い始める。
「私は、何のためにピアノを弾くのだろう」
誰かにそう思って欲しいからではなく、誰かを思い通りに動かすためでもなく。自分の中にあるものを、自分の音として奏でるために――。
これは、一人の少女が『自分の音』を見つけ、その音を誰かへ手渡していく物語。