あらすじ
「聞いてくださいな! 私、婚約破棄をされましたのよ!」
「本日をもってお前を追放させてもらう!」
婚約破棄や追放。
ちまたで流行っているらしいドラマチックな騒動を、29歳の女傭兵ミレイユは、今日も雇い主の側から眺めていた。
ぶっきらぼうだが腕は立つし、人柄も悪くない。
護衛対象の令嬢からも、Sランクパーティーのリーダーからも「うちに来ないか」と熱烈なスカウトを受けるミレイユ。
孤独な放浪生活を終わらせ、安定した温かい居場所を得る絶好のチャンス。……だというのに、彼女は笑ってその誘いを断ってしまう。
理由はただ一つ、「葉巻が吸えなくなるから」。
将来の不安も、誰かと生きる未来への憧れも、全部まとめて紫煙に巻く。
これは、婚約破棄や追放を傍から眺め、自分の明日について考える、少し不器用な女傭兵のビターな日常譚。