あらすじ
誰かを帰すたび、自分の帰り道が一本消える。
戦闘の苦手な探索者・佐伯亘には、実際に往復した道を、誰かに一度だけ貸せる力がある。
送れるのは一人。持てる道は三本まで。そして、使った道は消えてしまう。
ある日、崩落に巻き込まれた少女・詩織を救った亘は、自分だけが迷宮に取り残される。
辛うじて生還した彼を待っていたのは、感謝と、耳の痛い一言だった。
「誰かを帰すたびに、自分の帰り道をなくすような助け方、いつまでも続けられるわけないでしょう」
人は助けたい。でも、家賃も払わなければならない。
現場に強く、値付けに弱い亘と、実家の食堂で伝票を扱ってきた詩織。
二人が始めたのは、ダンジョン撤退専門店「おかえり」だった。
下見、道案内、撤退判断。時には、依頼を断ること。
一人では続けられなかった救助を、仲間と続けられる仕事に変えていく。
地味な専門家たちの、命と暮らしを支えるダンジョンお仕事ファンタジー。