あらすじ

七月の朝、六十九歳の堀内重雄は、いつものように開店直後のスーパーへ向かった。 買い物メモ、マイバッグ、現金払い。 段取りよく、誰にも迷惑をかけずに済ませるはずだった。 しかしレジで財布がないことに気づく。 ポイントカードもない。スマホ決済もしない。後ろには客がいる。カゴの中には、孫のためということにして入れた箱アイスがあった。 「冷凍戻しお願いしまーす」 店員の何気ない一言が、堀内の胸に妙に刺さる。 これは老いではない。 ただの置き忘れだ。 そう自分に言い聞かせながら、堀内は財布を探しに家へ戻る。 財布を忘れた朝に起きた、ほんの小さな失敗と、ほんの小さな回復の話。

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カクヨム
カクヨム2026/09/27
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