あらすじ
高校一年生の綾小路吏翔は、できるだけ面倒なことに関わらず、誰とも深く踏み込みすぎない「安全圏」で高校生活を送ろうとしていた。
友人とくだらない話をして、授業を受けて、放課後に遊ぶ。
そんな、ごく普通の日々。
クラスの中心にいる七瀬なずなも、いつも明るく笑っていた。
――けれど、その笑顔の裏側にあるものに、吏翔は気づいていた。
気づいていながら、関わらなかった。
自分が傷つくのが怖かったから。
面倒なことに巻き込まれたくなかったから。
「誰かを助ける」なんて、自分には関係のないことだと思っていたから。
そして、取り返しのつかない出来事が起こる。
後悔だけを抱えたそのとき、吏翔は過去へ戻っていた。
死んだからでもない。
誰かに与えられた力でもない。
ただ、「あのとき違う選択をしていれば」と強く願ったから。
もう一度始まる、高校一年生の五月。
前の時間を知っているのは、吏翔だけ。
しかし、過去を知っているからといって、人の心まで思い通りになるわけではない。
一度救った相手が、今度は別の誰かを変える。
昨日まで知らなかった悩みが、次の問題として目の前に現れる。
友達、恋愛、嫉妬、噂、勉強、学校行事、家族、進路――。
やり直せるのは、過去だけ。
それでも、選び直すことには意味があるのか。
これは、完璧な人生を手に入れる物語ではない。
間違えて、傷ついて、逃げて、後悔して。
それでももう一度、人と向き合っていく。
一度目では見えなかったものを、二度目の高校生活で見つけていく物語。