あらすじ
夫の浮気をきっかけに、二十五年の結婚生活に終止符を打った里沙、四十六歳。慣れない旧姓、一人では食べきれない味噌汁、空白ばかりに見える履歴書。自分の好きなものさえ思い出せない彼女が足を踏み入れたのは、小さな写真教室だった。
そこで出会ったのは、十四歳年下の女性写真家・伊緒里。
「私が撮りたいんです。里沙さんを」
まっすぐな言葉に戸惑いながら、里沙の毎日は少しずつ色を取り戻していく。
元夫の「一人じゃ何もできないだろう」という言葉を胸に、初めて出かけた一人旅。海辺の写真を伊緒里に送ると、届いた返事は——「今すぐ会いたいです」。
友達だと思っていた。娘のような年齢だと思っていた。それなのに、会える日には何度も服を選んでしまう。
年齢差も、周囲の目も、もう一度誰かを愛する怖さも抱えながら。
これは、自分の人生を取り戻していく女性と、彼女に恋した女性の、少し痛くて、あたたかな再出発の物語。