あらすじ
小学生の頃、相良透真は「良い子」だった。
忙しい両親を心配させないように笑い、先生や友達が困らないように、相手が望むことを先に考える。
そうすれば、誰とでもうまくやっていけると思っていた。
けれど、人を見て助けたはずなのに、「気持ち悪い」と言われた。
それでも透真は、人を見ることをやめなかった。
見て失敗したのなら、もっと注意深く見ればいい。
中学一年、誰もやりたがらなかった委員を眺めたことから、その「人間観察」は少しずつ形を変えていく。
人は、口にした言葉だけで動くわけじゃない。
善意があるから安全とも限らない。
相手の気持ちは分かっても、自分の気持ちは分からない。
そして、観察している自分自身も、人間関係の外にはいられない。
小学生から高校二年まで。
後に「嘘告白」に巻き込まれる相良透真が、どうして人を見て、考えて、簡単には決めつけない少年になったのか。
失敗して、怒らせて、付き合って、別れて、友達ができて。
本編では語られなかった、観察者・相良透真ができるまでの記録。
『相良透真の観察日記』
――人を見るのは得意だった。
自分を見るのは、ずっと苦手だった。