あらすじ
二〇三九年。
五年前に終わった戦争で、田島陽一は両親と大切な幼なじみを失った。
高校へ進むこともなく、十四歳から工場で働き始めた陽一は、十九歳になった今も一人で暮らしている。
そんな彼の生活を少しだけ変えたのは、父の遺した古いCB750Fだった。
老工員と三年かけて修理したバイクに乗り、ある休日、陽一は子供の頃によく訪れた教会へ辿り着く。
そこで思い出したのは、いつも一人で祈っていた幼なじみの少女。
『何を祈ってるんだ?』
『内緒』
彼女は最後まで、その答えを教えてくれなかった。
あれから五年。
誰もいない教会で、陽一は呟く。
「……会いたいな」
これは、戦争によってすべてを失った少年と、戦争によってすべてを奪われた少女の物語。
そして二人が、もう一度出会うまでの物語。