あらすじ
世界最高峰の技術を持つ魔導具師、エドアルド・ヴァレンティ。
彼は人里離れた広大な館の中でただ一人、自らが手掛けた魔導人形たちと共に暮らしている。
かつては引く手あまたの名工だった彼も、今ではほとんど仕事を引き受けず、人との関わりを断ち、彼が自ら望んですることと言えば、毎夜決まった時刻に、妻の待つ一室を訪れることだけ。
彼を待っているのは、幼馴染であり、最愛の妻でもあるローズ。
身体の弱い彼女を案じ、食事も仕事も忘れて傍にいようとするエドアルドに、ローズはいつも通りの優しい笑みを浮かべる。
「私は、ここにいるわ」
その言葉に安心するように、エドアルドは彼女を抱きしめる。
けれど彼は知らない。
彼女の胸には心臓がないことを。
その身体が少しずつ壊れ始めていることを。
そして……彼女には、もう一つの名前があることを。
これは愛するが故に過去に囚われた男と、愛するが故に過去を生きた女の、いつか互いを見つけるまでの物語。