あらすじ
「地味な星占いなど時代遅れだ!」──星辰の光降る夜会で、王太子ロイドは婚約者セリアに婚約破棄を告げた。祈るだけで魔物を退ける新たな聖女ミラを迎え、身に覚えのない罪でセリアを国外追放にして。
ですが、セリアはただの令嬢ではありませんでした。前世は天文部と防災サークルを掛け持ちした平凡な学生。彼女の『星読み』とは占いなどではなく、星の運行から気象と災いを予測する、れっきとした科学だったのです。
三年間、たった一人で王国を無災害に導いてきた真実を誰にも告げぬまま、セリアは静かに一礼して去ってゆく。
(野営のひとつもできない聖女さまが、私の代わりですって? お手並み、拝見いたしましょう)
来月、王国を数十年ぶりの記録的な嵐と魔物の大群が襲う──それを知るのは、彼女だけ。
追放先に指定されたのは、人を寄せつけぬ竜人族の領地『竜峰』。しかしそこで、セリアは生まれて初めての『暖かい夜』と出会うことになります。焚き火を囲み、竜たちと夜空を数える日々。凛とした将軍、あどけない竜の子ノルン。
そして、すべてを失った夜。よろめきながら山を登ってきた、かつての聖女が涙ながらに告げるのです──「わたしにも、星の読み方を教えて」と。
見る目のない王国に見切りをつけた星読み令嬢が、竜と焚き火とともに、本当の居場所を見つけていく。静かで痛快、そして温かい、星降る夜の物語。