あらすじ
大学生の朝倉透は、どこにでもいる普通の大学生だった。
――あの日までは。
目を覚ますと、そこは見たこともない街だった。
石畳の道。巨大な城。見たことのない服装の人々。
どう考えても、そこは現実とは思えない「異世界」だった。
元の世界へ帰る方法を探す透の前に、一人の少女が現れる。
「……やっぱり、来たんだ」
リナと名乗る少女は、透のことを知っているようだった。
しかし、透には彼女と会った記憶がない。
やがて透は、奇妙な事実に気づいていく。
異世界にある街や駅、川、古い歌。
それらは、現実世界にも確かに存在している。
さらに、スマートフォンに残されていたはずのない写真。
百年前の新聞に書かれた「二つの世界」の記録。
そして、自分自身と同じ筆跡で書かれた謎の手紙。
これは、本当に「異世界」なのか。
なぜリナは、初対面のはずの透を知っているのか。
なぜ透は、この世界のことを懐かしいと感じるのか。
そして――なぜ、自分はこの世界の記憶を失っているのか。
二つの世界を行き来するたび、少しずつ明らかになっていく過去。
やがて透は知ることになる。
この世界には、自分と同じ「朝倉透」がもう一人存在することを。
二人の透。
二つの世界。
そして、百年前から続く「境界線」の謎。
これは異世界へ行く物語ではない。
忘れてしまった、もう一つの人生を取り戻す物語。
――世界の境界線で、誰かがずっと君を待っている。