あらすじ
中学生になった朝倉直人は、かつては誰とでも話せる活発な少年だった。
しかし、中学校では偶然隣の席になった生徒をきっかけに、
次第に人との距離を置くようになっていた。
「僕は悪いことをしていない」
そう自分に言い聞かせながら、誰とも関わらず、傷つかないように生きる直人。
そんなある夜、忘れ物を取りに戻った学校で、直人は一人の少女と出会う。
彼女の名前は澪。
昼間の学校では多くの人に慕われる存在でありながら、夜の学校では銃を手にして、誰も知らない「闇」と呼ばれる存在と戦っていた。
それは、人間の心の奥に隠された感情から生まれるものだった。
嫉妬。
寂しさ。
劣等感。
怒り。
誰かに認められたいという願い。
自分でも認めたくない感情が形となり、学校のどこかに姿を現す。
そしてなぜか、周囲から孤立している直人にも、その「闇」を見る力と、それと戦うための武器が与えられる。
昼間は誰からも必要とされない。
けれど夜になると、澪と二人で誰かの心の奥に生まれた闇と向き合うことができる。
その奇妙な時間を過ごすうち、直人は少しずつ人間の心について考えるようになる。
善人だと思っていた人にも、醜い感情がある。
優しい行動の中にも、誰かに必要とされたいという願いが隠れている。
誰かを嫌うことと、誰かを傷つけることは同じではない。
そして、人を知るということは、その人の知られたくない部分まで知ってしまうことでもある。
闇を知るたびに、直人の中で「人間とは何なのか」という疑問は大きくなっていく。
一方、いつも誰かを助けようとする澪にも、誰にも語らない思いがあった。
「人を助けることは、本当に純粋な優しさなのだろうか」
「自分の中にある醜い感情を知っていれば、人は善い人間なのだろうか」
「誰かを嫌うことは悪いことなのか」
そして――。
これまで他人の心の闇ばかりを見つめてきた直人自身もまた、自分の心から目を背けられなくなっていく。
これは、学校という身近な世界を舞台に、誰もが心の奥に抱えている「見たくない感情」と向き合う少年少女の物語。
人間は、本当に善人なのか。
それとも、誰もが心の中に「闇」を抱えているのか。
答えのない問いを抱えながら、直人と澪は夜の学校を歩いていく。