あらすじ
1945年。米軍は沖縄ではなく台湾へ上陸し、中国軍も「自ら台湾を奪還する」ため海を渡った。台湾戦が長引くほど、ソ連には欧州から極東へ兵力を移す時間が生まれる。
ソ連情報部のタチアナ中佐はスターリンに、日本を勝たせず、ただ降伏を遅らせる策を提案する。満州などで鹵獲した日本製兵器と弾薬を台湾の帝国陸軍へ密かに送り、その間にソ連軍は北海道上陸の準備を進めた。
原爆投下とソ連参戦を受けても、日本では降伏派と継戦派が割れ、天皇・政府・大本営は松代へ移る。北から進むソ連軍は、降伏した帝国陸軍の人材を選別して日本人民軍を組織。東北の農村、北関東の工場と鉄道を取り込みながら東京へ迫る。一方、米軍は九州へ上陸し、西日本を北上する。
海軍大将井上成美は東京を戦場にしないため無血開城を選び、タチアナは美濃から杉原千畝を霞ヶ関へ連れ戻す。やがて松代も降伏し、最後の残存部隊が関ヶ原で武器を置いた。
戦争のあとに残ったのは、東西に分かれた二つの日本だった。揖斐川と九頭竜川を境に、東には日本人民共和国、西には京都の天皇を戴く日本国が成立する。国境、復員、朝鮮、皇室、水利、産業復興――戦争を終わらせた人々には、今度は国を作る仕事が待っていた。