あらすじ
王都から切り離され、人口47人の辺境へ送られた第三王女リゼ。
濁った井戸。
壊れた倉庫。
足りない食料。
金も兵も、まともな設備もない。
そんな土地で彼女が目をつけたのは、討伐された魔獣から取り出された《浄水嚢》だった。
「それ、井戸につなげたら駄目なの?」
水が出た。
なら、熱を生む器官は浴場へ。
保存する器官は倉庫へ。
筋肉は城門へ。
使えるものは、全部つなぐ。
そうして47人しかいなかった辺境は、少しずつ豊かになっていく。
――ただし。
井戸には歯が生えた。
倉庫は歩き出した。
家々は、ときどき同じ鼓動を刻む。
魔獣の器官をつなぐほど、街そのものが「一匹の何か」に近づいていく。
それでも人は集まり、店ができ、子どもが育ち、捨てられた土地はいつしか彼女たちの居場所になった。
だからリゼは、何ひとつ切り離したくない。
けれど街を守るために必要だったのは、
つなぐ技術だけではなかった。
捨てられた王女と47人の住民が、
魔獣の器官で街をつくり、
失敗し、
笑い、
ときには自分たちの手で切り離しながら、
「自分たちの街」を手に入れる物語。