あらすじ
戦えない。魔法も使えない。未来知識も、便利な特殊能力もない。
そんな元宿屋の帳場係・ノアが、王国崩壊後に手に入れたのは――申請書がたった三枚しかない、何もない土地だった。
家もない。
畑もない。
食料もない。
おまけに周囲では、領主や軍勢が土地を奪い合っている。
ノアにできるのは、文字を読み、帳簿をつけ、人の話を聞くことだけ。
それでも――
食料が足りないなら、余っている場所を探す。
水を巡って争うなら、双方が使える条件を作る。
信用できない相手なら、裏切らない方が得になる約束を結ぶ。
相手が欲しいもの――「利」。
相手がその選択を受け入れられる理由――「理」。
剣の代わりに条件を。
魔法の代わりに約束を。
そうして積み重ねた小さな取引は、やがて村を動かし、商人を動かし、軍さえ動かしていく。
そしていつしか、その繋がりは――
一人で城を落とす“大陸最強の王”にまで届く。
これは、最後まで戦う力を持たない男が、
人と人との間に作った関係だけで、大陸の行方を動かしていく物語。