あらすじ
迷宮都市で、ゴブリンやコボルト、下水路の害獣ばかりを狩って暮らす35歳のベテラン冒険者ガイル。
誰でも倒せそうな低級魔物ばかりを相手にしていることから、若い冒険者たちには《雑魚専門》と馬鹿にされていた。
そんなある日、ガイルは下水路に潜伏する闇の魔術師を討伐するため、若くして《剣姫》と呼ばれる天才剣士リゼットの案内役を任される。
しかし、地下で2人を待っていたのは、すでに滅んだはずの古代種だった。
ドラゴン以上の俊敏性と凶暴性を持つ怪物を前に、リゼットが撤退を決断する中、ガイルは何気なく剣を抜く。
次の瞬間、古代種の首が地面へ落ちていた。
「あなた、一体……何者なんですか?」
「雑魚専門の冒険者だよ」
だが、本当の敵はその先にいた。
古代種を使役し、地下水路に巨大な魔法陣を築いていた闇の魔術師との戦いで、リゼットは罠にかかってしまう。
彼女を庇ったガイルは右腕を失いながらも、慣れない左手で剣を握り、そのまま魔術師を討ち取った。
通常の治癒魔法では、失われた腕を元に戻すことはできない。
ただし、禁術や失伝魔術、古代の術式ならば可能性があるという。
自分の判断のせいでガイルの右腕を失わせたと責任を感じたリゼットは、剣姫としての権限も実家の人脈も使い、腕を戻す方法を探すことを決意する。
ところが、当のガイルはまったく気にしていなかった。
「右手が使えないなら、左で剣を振ればいい。できないことが増えたなら、また修行できるだろ」
「普通はそれを前向きとは言わないんです!」
食事を作り、着替えを手伝い、仕事についてきて、ついには「私が一生、ガイルさんの右腕になります」と宣言するリゼット。
一方のガイルは、片腕になった翌日からスライム退治へ向かい、左手で剣を振れるようになることを楽しみ始める。
これは、どれだけ傷ついても絶対に曇らない《雑魚専門》のベテラン冒険者と、自分のせいだと思い込んで彼の代わりに曇り続ける剣姫の物語。
失われた右腕を巡って始まった、少し重たくて、かなり噛み合わない迷宮ラブコメディである。