あらすじ
四話 完結
1話 陽菜|陽菜《ひな》 ――喜――
翻訳家を夢見ながら、努力しても報われないと感じている大学生・高橋陽菜。占いに導かれ、休日にふと乗った"普通・縁行き"の車内で、忘れていた記憶の持ち主たちと出会う。
「自分は誰にも恵まれていない」と思っていた陽菜が、実は見えない優しさに支えられ、また自分も誰かを支えていたことに気づいていく。
2話 鮫島 ――怒――
仕事は順調、胸の奥に消えない怒りを抱えるサラリーマン・鮫島。代休の日、"快速・復讐行き"に乗り込むと、成果を横取りした元上司、裏切り、何も言わず別れた元恋人が次々現れる。だが誰も彼のことを覚えていない。そして車内放送が告げる「最も強い影響者」とは――
3話 直人 ――哀――
親友・圭介の命日、いつもの快速に乗り遅れ、代わりに乗った"普通・哀行き"。そこで出会うのは、別れ際をきちんと話せなかった元恋人、疎遠になった友人、支えてくれた恩師、そして亡くなった母。
4話 蓮 ――楽――
効率と最短ルートを信条にしてきた神谷蓮。映画に向かう途中、快速の遅延で乗った"普通・寄り道行き"で、記憶に出会う、高校時代の合言葉、大学時代の恋人とのやりとり、新社会人だった頃の同僚との軽口――かつて「楽しい」と感じていた寄り道の時間の断片と出会う。最終駅の名は「現在」。効率だけを追い、置いてきた小さな喜びに気づく物語