あらすじ
三年後、俺は目の前の少女に殺される。
――だが《弔視》が告げたのは、彼女が明日死ぬ未来だった。
前世でやり込んだ戦略RPG『白剣戦記――灰潮の帝国』。
その世界で俺が転生したのは、物語中盤で処刑される第三皇子エゼル・ロスヴェイン。
皇位も権力もいらない。
原作を乱さず、破滅だけ避ける。
それが唯一の目標だった。
ところがエゼルには、ゲームにはなかった力がある。
親しくなった相手に素手で触れれば、その人間の「もっとも近い死」が見える《弔視》。
ただし――自分の死だけは見えない。
数年ぶりに再会した“白剣”フィリネアは、原作でエゼルを処刑する少女。
そして今、《弔視》には、彼女が翌日、血まみれで倒れる光景が映っていた。
見殺しにすれば、未来の死因は消える。
それでもエゼルは彼女を救う。
「未来の俺を殺すからって、今ここで死んでいい理由にはならない」
その一度を境に、原作は狂い始める。
反逆者として斬首されるはずの槍騎士。
皇太子毒殺犯として吊るされるはずの下働きの少女。
本来なら敵になるはずだった者。
歴史の陰で死ぬはずだった者。
彼らを救うたび、なぜか全員がエゼルの周囲へ集まってくる。
そして宮廷では、ある噂が囁かれ始めた。
――第三皇子は未来を読み、秘密裏に人材を集め、皇位を奪う準備をしている。
「……俺は生き残りたいだけなんだが?」
しかも北境では、本来まだ起こらないはずの大災害《灰潮》の兆候まで現れ始めていた。
自分の死だけは見えない悪役皇子が、他人の死を変え続けた果てに、原作にもなかった帝国の未来を背負う物語