あらすじ

日本中の桜は、一本の木を接ぎ木で増やしたクローンだ。 同じ木だから一斉に咲き、一斉に咲かない年もある。 暖冬で休眠打破に失敗した春、つぼみは動かない。 開花日の列は千二百年続き、昔の気温を知る唯一の手がかりでもある。 記録をつなぐのが私の仕事だが、そこに初めて空欄ができる。 並木は薬で咲かされる。 その花を美しいと思いながら、私は空欄を選ぶ。 並木は切られる。 七年後、切り株の脇に名前のない若木が咲く。 私はその枝を接いで増やしたくなっている。

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小説を読もう2026/09/27
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