あらすじ
九歳のカイルは、四人兄弟の長男だった。貧しくとも、家族と笑い合う穏やかな日々を送っていた。
ある日、作物を売りに街へ出ていたカイルが村に戻ると、そこにあったのは変わり果てた景色だった。門番の首、燃える家々、動かない村人たち。辿り着いた我が家で見たのは、冷たくなった父と弟妹たちの姿。
ただ一人、かろうじて息のあった母が、最期に残した言葉。
「白髪の……右目が、赤い……男が……」
その言葉だけを胸に刻み、カイルは幼い手で村人全員を埋葬した。まだ九歳の少年が、たった一人で。
すべてを弔い終えたカイルは、復讐を誓い旅立つ。ギルドに依頼を拒まれ、無断で持ち出した討伐依頼で森の魔物に死にかけたところを、剣聖メルトに拾われる。道場での修行を経て、仲間を集めながら中央諸国を巡る旅に出る。手がかりを一つ一つ拾い集め、「白髪の男」の正体――それが、神そのものであるという、あまりに大きすぎる真実に近づいていく。
だが、真実に近づくたび、カイルの大切なものは奪われていく。
これは、神を殺すと誓った一人の男の物語。
何度失っても、同じ景色を見る度に、それでも前へ進み続ける物語。