あらすじ
42歳の会社員、黒瀬誠。
妻と高校生の娘に囲まれ、平凡ながらも幸せな毎日を送っていた。
ところが、ある朝。
妻が消えた。
食卓には妻のマグカップがない。クローゼットから服が消え、家族写真には誠と娘しか写っていない。
娘に妻のことを尋ねても、返ってきたのは信じられない言葉だった。
「お父さん、私にお母さんなんていないよ?」
世界中の誰もが、妻の存在を忘れていた。
ただ一人、誠を除いて。
そのとき、スマートフォンに奇妙な通知が届く。
【世界修正局・臨時職員採用のお知らせ】
この世界は、毎日午前4時44分に更新されている。
更新時に発生した矛盾は「バグ」として修正され、不要と判定された存在は、人々の記憶ごと削除されるという。
誠に与えられた最初の任務は、妻が存在していた最後の証拠を消すこと。
そして知らされる、残酷なルール。
「削除された人間を復元するには、別の人間を一人消さなければならない」
妻を取り戻すか。
見知らぬ誰かの人生を守るか。
世界の仕組みを知るほど、誠はある疑問を抱き始める。
――そもそも、なぜ俺だけが妻を覚えている?
これは、世界から消された妻を取り戻すため、平凡な父親が世界のルールそのものに挑む物語。