あらすじ
5歳の孤児リネットは、エルベイン子爵夫妻に引き取られ、「エヴァリーナ」という新しい名前を与えられた。
白に近い金髪とオリーブグリーンの瞳を持つ美しい少女に与えられたのは、1体の人形。
少女が悲しむと人形が涙を流し、その涙は美しい宝石になる。
そんな「奇跡の人形」の物語とともに、宝石《ティアドロップス》は評判となり、エヴァリーナは人形を抱く美しい令嬢として知られていく。
けれど、人形は泣かない。
涙が宝石になることもない。
すべては、エルベイン子爵家が作り上げた偽りだった。
商品を売るための「顔」として育てられた少女は、それでもいつか助けてもらえると待ち続ける。
優しい伯爵令息。
彼女を救おうとする友人。
証拠を集める公爵家。
皆が彼女を心配している。
皆が「もう少し待って」と言う。
そして16歳のある日。
エヴァリーナ・エルベインは、増水した川辺に靴と人形を残して姿を消した。
これは、誰かに選ばれ続けた少女が、自分の人生を自分で選び直すまでの物語。