あらすじ
*登場人物*
シルア
十年前に枯れた王家の花園を管理してきた家の娘。
冷静で芯が強く、自分の立場を理解して行動する。
家に着せられた汚名を晴らすためではなく、花園で何が起きたのかを知ろうとする。
ジュール
王立研究院に所属する魔法使い。正式な肩書きは魔術研究官。
感情より事実を優先し、根拠のない結論には従わない。
シルアとともに、花園地下に隠された古代魔法の解析へ挑む。
アリア
王都救護院で患者と家族の話を聞く調停役。
人の心を丁寧に見つめ、「愛されたい症候群」に苦しむ人々を支える。
ジエン
十年間、潮位と異変の時刻を記録し続けてきた潮門番。
誰に信じられなくても、自分の記録を曲げない。
*あらすじ*
十年前、一夜にしてすべての花を失った王家の花園。
その責任を負わされ続けてきた管理家の娘シルアは、大潮の夜、枯れた根が青白く光る瞬間を目撃する。
同じころ王都では、「誰かに必要とされなければ自分には価値がない」と思い詰める〈愛されたい症候群〉の患者が急増していた。
海岸で拾った壊れた貝殻に残されていたのは、十年前の事故の記憶。
王立研究院の魔法使いジュールと調査を始めたシルアは、花園地下に眠る巨大な共鳴樹と、人間の「愛されたい」という渇望を魔力へ変換する禁じられた仕組みを知る。
しかも大嵐が王都へ迫り、失われた結界を復活させなければ、多くの命が危険にさらされる。
人の心を犠牲にして街を守るのか。
それとも、誰か一人を差し出さない方法を選ぶのか。
そして症候群に侵され始めたシルア自身も問われる。
――私は彼に必要とされたいのか。
それとも、自分の意思で彼を愛したいのか。
愛されることと、愛すること。
必要とされることと、自分で選ぶこと。
枯れた花園から始まる、魔法と恋の物語。