あらすじ
五歳以前の記憶を失い、自分の姓も家族も知らない少年・シェイド。
七歳の時、暮らしていた孤児院が盗賊に襲われたことをきっかけに、フェリスティル騎士団へ保護される。穏やかな団長アレンや、兄のような年上の騎士たちに囲まれながら、シェイドは少しずつ新しい居場所を見つけていった。
そして十歳。
シェイドは、フェリスティル王国の王女リアの話し相手に選ばれる。
リアは優しく穏やかな少女だったが、とても人見知りで、特に同年代の男の子が苦手だった。
最初はぎこちなかった二人。
けれど、無理に距離を縮めようとせず、ただ静かにそばにいてくれるシェイドの優しさに、リアは少しずつ心を開いていく。
やがて十二歳になったシェイドは正式に騎士団へ入り、リアの護衛騎士に選ばれる。
王女と護衛。
身分も立場も違う二人。
それでも、幼い頃から積み重ねてきた想いは、少しずつ特別なものへと変わっていく。
けれど互いを大切に思うからこそ、二人とも簡単にはその気持ちを口にできない。
今の関係を壊したくない。
相手を困らせたくない。
そうして年月だけが過ぎていく中、周囲の人々も次第に二人の関係を見守るようになる。
そして十六歳。
ある公務をきっかけに、シェイドとリアの関係は大きく動き始める。
これは、家族も過去も知らなかった一人の少年が、騎士となり、王女を守り、愛する人と出会い、自分自身の未来を選んでいく物語。
そして、忘れていたはずの過去もまた、静かに彼を待っていた――。