あらすじ
世界には、境界がある。
少なくとも、人類はそう考えていた。
宇宙の果て。
時間の終端。
空間の外。
観測可能な領域。
そして、あらゆる世界を含む「世界」そのもの。
物理学者・天城は、世界の境界を観測するための装置を完成させる。
理論上、それは不可能だった。
「世界の外側」という言葉自体が矛盾しているからだ。
世界のすべてを含むものに、外側など存在できない。
しかし装置は、何もないはずの場所から一つの観測結果を返した。
――外側。
そこには空間があった。
時間があった。
物質があった。
生命があった。
そして何より、
こちら側の世界を観測している何かがあった。
天城たちは世界の外側へ進む。
しかし、外側へ出るたびに、さらに別の「世界」が現れる。
世界の外側。
その外側。
さらにその外側。
やがて彼らは気づく。
世界とは、巨大な一つの空間ではない。
「ここが世界だ」と定義した瞬間、その外側が生まれる。
では、本当の意味での「世界の外側」とは何なのか。
そこには空間も、時間も、物質もない。
――あるのはただ、
「世界」という言葉を定義する前の何か。
そして天城は、その場所から一つの文章を受信する。
「あなたたちは、まだ世界の内側にいる。」