あらすじ
酒が嫌いだった。
21歳の青年・小川俊は、浅草生まれ、浅草育ちの公務員。
酒そのものが嫌いというより、酔っ払った人間が苦手だった。
そんな俊には、誰にも言えない奇妙な秘密がある。
酒を飲むと、日本酒の“声”が聞こえる。
ある日、飲み会で口にした一杯の日本酒。
その瞬間、俊の目の前に見知らぬ女性が現れた。
彼女の正体は――日本酒。
それまで「日本酒なんて、どれも同じ」と思っていた俊だったが、一つひとつの酒に個性があり、それぞれに物語があることを知っていく。
やがて俊は、日本全国の日本酒と出会う旅へと足を踏み出す。
酒蔵、酒米、酵母、土地、そしてそこで酒を造る人々。
日本酒を知るほどに、俊の中にあった「酒嫌い」という気持ちは少しずつ変わっていく。
そして全国の酒と出会った先で、俊はある大きな夢を抱くことになる。
「浅草に、自分の酒蔵を作りたい」
酒嫌いだった青年が、日本酒の声に導かれながら歩む、日本全国酒巡り。
これは、日本酒を知らなかった青年が、日本酒と出会い、自ら酒を造るまでの物語。
――すべては、この一杯から始まった。