あらすじ
梅雨の雨が降り続く夜、私はいつものように、冽里様のもとを訪れた。
私と彼を繋ぐのは、恋でも友情でもない。
ただ、身体を差し出すという奇妙な契約だけ。
ところが、その日だけは何故か彼の姿が見当たらなかった。
広すぎる邸宅を探し回った末、私は一度も入ったことのない、鍵のかかった部屋へ辿り着く。
そこにあったのは、所狭しと積み上げられた映画の本。
書き散らされた脚本。
そして、一台の古びた映写機。
退廃的で、他人を物のように扱い、何事にも執着しないと思っていた男。
その彼が、誰にも見せず、ひたすら映画について考え続けていた。
「映画を作りたい」
その部屋で初めて知った、冽里様の隠された夢。
けれど、それに触れた瞬間――
彼は初めて、私に本気の怒りを向けた。
これは、身体だけで繋がっていたはずの二人が、
互いの知らなかった「心」に触れていく物語。