あらすじ

2026年、日本。 大手ゼネコンに勤める相馬直人、38歳。 彼には、子どもの頃から追い続けてきた夢があった。 ――軌道エレベーターを、この手で建設すること。 SFを愛し、「宇宙へ行く側ではなく、宇宙への道を造る側になる」と決めた直人は、その夢のために建設会社へ入った。 橋梁、海洋構造物、超高層建築、制振技術、特殊構造。 様々な現場を経験しながら、誰に命じられたわけでもなく、十五年以上にわたって軌道エレベーターの建設方法を研究し続けてきた。 そんなある日。 一本の電話が、彼の人生を変える。 「相馬君。あなた、まだ宇宙エレベーターやってる?」 長年、実現を阻んできた最大の壁――テザー材料。 その常識を覆す新素材が、日本の研究チームによって生み出されたのだ。 夢物語だった軌道エレベーターが、初めて「建設できるかもしれない構造物」へ変わる。 だが、全長約十万キロにも及ぶ人類史上最大の建造物は、一人の天才にも、一企業にも、一国にも造ることはできない。 建設候補地は赤道直下、キリバス共和国。 日本政府、各国政府、研究機関、宇宙機関、建設会社、素材メーカー。 異なる国籍、異なる文化、異なる利害を持つ人々が、一つの計画へ集まっていく。 その一方で待ち受けるのは、材料欠陥、テザー振動、海洋災害、宇宙デブリ、施工事故、資金難、国際政治、技術流出、世論の反発。 そして、二十四年にも及ぶ建設期間。 直人自身にも、妻・沙織と娘・結衣との生活がある。 夢を追えば追うほど、帰るべき場所から遠ざかっていく。 それでも、造る。 地上から宇宙へ。 人類が歩いて渡れる、新しい道を。 これは、宇宙へ行く英雄の物語ではない。 宇宙への道を造ろうとした、建設屋たちの物語。 ――人は、自分の人生より長い夢を、それでも造り続けることができるのか。

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小説を読もう2026/09/26
  • 現在の作品第1部 夢が工事になるまで