あらすじ
高校二年の春。ムードメーカーで優等生、誰にでも人当たりが良い。有栖川真琴は、そんな肩書きを背負って生きていた。
「姉がいそうだね」という言葉に一拍遅れて返事をする事も、「建築系なら建築学部とか理工学部とか?」と言われる時に微かに目を伏せる事も、周りは知らない。気付かない。
周りから慕われているのは有栖川真琴ではなく、便利に使えるクラスメイトという肩書きだった。それくらいわかっていた。だけれど、それ以外の生き方を知らない。それ以外の生き方をした有栖川真琴を、誰も求めない。
始業式の初日から遅刻して、しかし焦る様子の一つも見せない、自分の前の席の不思議な同級生、朝日奈葵月。
ムードメーカーだからではなく、遅刻しないからという理由で自分を頼る彼は、最初から有栖川真琴の肩書きを必要としていなかった。たまたま出席番号が隣同士だっただけ。その淡白な温度が、嬉しくて、でも少し怖かった。
文化祭の黒板。駅の自販機の前。いつの間にか机に置かれたプリント。
部活。進路。人間関係。
教室という海で生きる自分たちには、それらは少し重い。
*後日談含め完結済みです
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『梅雨、未完成。』の前日譚でもあり、本作の後日談でもある短編を作りました。後半三話の番外編がそれですが、先に梅雨を読まないとしっかりとネタバレがありますので、先に梅雨を呼んでください。
作品を跨いだちょっとした伏線回収もあります。いえ~い。
*実在する教育機関及びその他の地名をそのまま使用しています。
*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
*多少現実の設定を改変しているところがあります。
*実在するものと一切の関わりを持ちません。全てフィクションです。
上記について、作品の中での描写として問題はないと認識していますが、不都合等あればお手数ですがお知らせください。