あらすじ
「聖女を蔑ろにした罪で、貴様との婚約は破棄する!」
春の夜会、王太子ジェラルドの断罪劇。けれど公爵令嬢エルフィーナは泣き縋るどころか、にっこり微笑んで即答した。
「かしこまりました。あなたとの婚約は破棄いたします。辺境のりんご園に籠もって余生を過ごしますので——どうぞ、お構いなく」
(やった……! これでずっと畑仕事だけしていられる……!)
前世は農業法人の品種改良研究員。過労で命を落とし転生した彼女にとって、辺境送りはむしろ願ってもないご褒美だった。
向かった先は、疫病で枯れ果て「呪われた地」と呼ばれる荒れ地『白昼夢の丘』。だがそこで彼女を待っていたのは、数百年ものあいだ誰にも声を届けられず、ひとり泣いていた寂しがり屋の神樹の精霊・アダムだった。
前世の知識と、植物と語らうギフト。そして甘えん坊な神樹の加護。土壌改良に接ぎ木、病害対策——愛する土いじりに没頭するうち、枯れた丘はいつしか黄金林檎の実る楽園へと生まれ変わっていく。
ところが。彼女が去った王都では、なぜか少しずつ歯車が狂い始めていて……?
スローライフを満喫したいだけの無自覚聖女が贈る、痛快追放ざまぁ×ほのぼの農園ファンタジー。報われた者たちが集う夢のような園で、次なる物語が始まる。