あらすじ
「この城、来月落としますね」
レグナード王国の使者は、会議の予定を知らせるような口調でそう言った。
しかし、城主のグレンは十日前から行方不明だった。
残されていたのは、一枚の書き置きだけ。
『俺より強いやつに会いに行く。留守は頼んだ』
行き先を書け、バカ。
城主補佐官エドは王女と城主を捜しながら、敵国との交渉、城壁の修復、兵糧の確保、領民の避難を同時に進めることになる。
だが、両国の戦争が終結してから約二十年。
長い平和のなかで、かつての国境要塞はすっかり様変わりしていた。
空堀は菜園になり、矢倉は倉庫として使われ、投石機には洗濯物が干されている。若い兵士たちは本物の戦争を知らず、これを武勲を立てる機会だと思っていた。
一方、かつて戦場を生き抜いた老臣たちは、戦争が英雄同士の華々しい勝負ではないと知っている。
そして、城を支える家臣団は全員有能。
全員グレンが大好き。
全員、どこかおかしい。
王女はどこにいるのか。
グレンは何をしでかしたのか。
城主不在で、どうやって城を守るのか。
攻城まで、あと三十日。
城を守る前に、まず城主を見つけなければならない。
笑いあり、恋愛あり、ときどき真剣な辺境城の籠城コメディ。