あらすじ
十年ぶりに帰ってきた故郷には、俺のことを覚えている妖狐がいた。
祖父母の高齢をきっかけに東京を離れ、父の故郷である四国の田舎へ引っ越してきた高校二年生、神代悠真。
遠縁の女性・篠宮綾乃と、その妹で同い年の華乃との新生活。
初めて見るはずなのに、なぜか懐かしく感じる山や古い鳥居。
そして転校初日。
「……悠真?」
学校一の人気者である金髪ギャル、高坂小春に突然名前を呼ばれる。
どうやら小春は、悠真が幼い頃にこの土地で遊んでいた幼馴染らしい。
しかし悠真には、彼女と過ごした記憶がほとんど残っていなかった。
それでも小春はお構いなし。
手を握る。
腕を組む。
一緒に帰る。
しまいには悠真のそばから離れようとしない。
距離感近すぎだろ!
ところが、悠真はやがて見てしまう。
小春の頭に現れた金色の狐耳。
背後で揺れる青白い尻尾。
学校一のギャルの正体は、人間社会に紛れて暮らす「天狐」だった。
しかも、失われつつあった小春の妖力は、なぜか悠真のそばにいるだけで回復していく。
「だから悠真、あたしのそばにいて!」
「俺、妖狐用の充電器なの?」
最初は妖力を取り戻すため。
……のはずだった。
けれど小春にとって悠真は、十年前から忘れることのできなかった男の子でもあって。
一方、悠真にも秘密があった。
異常なほどの怪力。
妖怪を見ることのできる目。
失われた幼少期の記憶。
そして悠真と出会った妖たちは、なぜか彼から漂う匂いを懐かしみ、頭を下げる。
「おかえり」
「神様の狐」
悠真は、本当にただの人間なのか。
さらに、二人を見守る保護者・篠宮綾乃にも秘密があるようで……?
妖狐ギャル×記憶喪失の幼馴染×ちょっと不思議な田舎暮らし。
十年前に止まった初恋と、人と妖の物語が、悠真の帰郷をきっかけにもう一度動き始める。
「悠真が忘れててもいいよ。だったら、もう一回あたしのこと好きになってもらうから」
これは、神様の狐の血を引く少年と、彼をずっと忘れられなかった妖狐少女の、再会から始まる青春あやかしラブコメ。