あらすじ
花と本を愛する二十二歳のリリア――愛称はリリー。
両親を亡くした彼女は、セレニア王国の城下町にある、花も扱う小さなブックカフェで働いている。
本を読み、花を束ね、常連客と言葉を交わす毎日。
いつか自分の店を持って、好きな人と結婚して、家族と穏やかに暮らす。
それがリリアのささやかな夢だった。
ところが、王の死をきっかけにセレニアは揺れ始める。
幼い王位継承者を巡って王宮では思惑が交錯し、地方では領主たちが力を強め、国外からも不穏な影が迫っていた。
そんなある日、リリアの前に現れたのは――数百年もの間、伝説の中にしか存在しなかったはずの神獣ルクス。
そして彼女自身も知らなかった、曾祖母から続く王家の血。
「私は、女王になりたいなんて思ったことありません」
政治も、外交も、国の財政も知らない。
王宮での礼儀作法さえ分からない。
それでも、このままでは自分が愛してきた人々の平穏な暮らしまで失われてしまうと知ったリリアは、やがて一つの決断をする。
これは、女王になるために生まれたわけではない一人の女性が、人々と出会い、学び、間違えながら、自分なりの「国を治める」ということを見つけていく物語。
そして――
幼い頃から隣にいた不器用な騎士ヴァレン。
海の向こうから現れる、美しく聡明な王子セドリック。
厳しくも個性豊かな臣下たち。
王冠を戴いたその先で、リリアはまだ知らない。
国を愛することも。
誰かを愛することも。
ただ優しいだけでは、守れないものがあることを。
花と本の国セレニアを舞台に描く、王宮政治×恋愛×成長の異世界ファンタジー。