あらすじ
「高槻さんの相手役は、私がやります」
かつて将来を嘱望されていた女優・高槻澪は、親密なシーンで共演者が台本にない行為を無断で行ったことに抗議した。その直後の撮影現場の映像を悪意ある形で切り取られ、「共演者を傷つけた問題女優」という烙印を押された澪は、業界から干されてしまう。
二年後、澪に残された最後の主演作は、女性同士の恋愛映画『別れ』だった。
しかし撮影開始を目前に控え、過去のスキャンダルが再び掘り返され、予定されていた相手役まで降板してしまう。
映画の企画が白紙になりかけたとき、国民的女優・神崎怜奈が澪の前に現れ、自ら相手役を引き受ける。
さらに怜奈は、映画を完成させるため、澪に百日間の恋人役レッスンを提案した。
二人はそれぞれ個室のある小さなアパートで共同生活を送り、手をつなぐこと、デートをすること、日常をともに過ごすことから、恋人らしい距離感を身につけていく。
一緒に過ごすうち、澪は気づいていく。
世間ではクールで近寄りがたいと思われている怜奈が、なぜか澪の前でだけは不器用になり、甘えたり、嫉妬したり、簡単に余裕を失ってしまうことに。
だが、澪は知らなかった。
六年前、芸能界に入ったばかりの怜奈が、澪の出演した一本の映画に背中を押され、もう一度、自分の人生を諦めないと決めたことを。
それ以来、怜奈はずっと澪を追い続けてきた。
そして、怜奈の恩人であり、長年の共演者でもある水城香澄が、再び二人の前に姿を現す。
しかし、香澄は二人の関係を受け入れるつもりがないようだった。
その一方で、かつて澪を陥れた告発と中傷の裏側も、少しずつ明らかになっていく……
これは、百日間の偽装恋人から始まり、やがて互いの本当の想いに気づいていく、二人の恋の物語。
カットがかかっても、彼女は私の手を離さない。